墓石のズレを直す方法とは?石材店の手順と注意点
- お墓
墓石のズレは、見た目の問題だけでなく、墓地の安全や信仰心に関わる重要な問題です。
しかし、墓石のズレをどのように修正すればよいのか、どこに依頼すればよいのか、正しい方法を知っている人は少ないでしょう。
本記事では、墓石のズレが起こる原因とその影響から、自分で直す方法や専門業者に依頼する際の注意点、さらに墓石のズレを防ぐためのメンテナンス方法まで、幅広く解説します。
目次
〇墓石のズレとは?原因と影響
〇墓石のズレを自分で直す方法(diy)
〇墓石のズレ直しは石材店に依頼!
〇墓石のズレを防ぐためのメンテナンス
〇実際にお墓のズレを直した事例
〇お墓のズレ直しに関するよくある質問(FAQ)
墓石のズレとは?原因と影響
お墓参りの際、墓石がずれていることに気付くと、先祖を大切にする気持ちから直したいと考えるのは自然なことです。
墓石のズレは美観を損なうだけでなく、墓地全体の安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、墓石がズレる原因とその影響について詳しく説明します。
墓石がズレる原因
墓石がズレる原因はさまざまですが、主に以下の三つが挙げられます。
1.地震や地盤沈下などの自然災害
富山・石川・福井は、地震が比較的少ない地域ですが、全くないわけではありません。実際に元旦には大きな地震が発生し、広大な地域で被害が発生しました。
地震による振動や地盤のゆるみは、墓石を支える基礎部分に影響を与え、ズレを引き起こすことがあります。
また、地盤沈下も同様に墓石を不安定にする要因となります。
地震からお墓を守る耐震施工については「地震からお墓を守るために耐震施工で対策を!修理の目安や流れをご紹介」の記事で解説しています。
2.気候条件や長年の風化
富山県を含む北陸地方は雪が多く、冬季の厳しい気候条件が墓石に影響を与えます。特に、雪が積もるとその重みや融雪時の水分が墓石やその基礎に負担をかけてしまうのです。
さらに、苔やカビが墓石の表面に入り込み、石材を浸食することもあります。
苔やカビは湿気の多い環境で繁殖しやすく、長年放置すると石材の微細な亀裂や隙間に入り込むため、石を弱める原因のひとつです。
これにより、石材の劣化や接着部分の弱体化が進み、ズレの原因となります。
3.設置時の問題の悪化
墓石の設置時に適切な基礎工事が行われていない場合、時間とともにその影響が現れてきます。
基礎が不十分だと、少しの外力でも墓石がズレることが少なくありません。
また、設置時に使用された接着剤や固定材が劣化することで、ズレが生じるケースも存在します。
ズレた墓石が与える影響
墓石がズレたまま放置すると、様々な問題が生じます。
構造の安全性低下
墓石がズレると、墓石自体の重心がずれて不安定になります。
この状態が続くと、さらに大きなズレや倒壊のリスクが高まり、構造全体の安全性が低下してしまうでしょう。
特に地震が起きた際には、大きな被害を受ける可能性が上がってしまうのです。
美観の損失
墓石のズレは見た目にも悪影響を及ぼします。
お墓は先祖を供養する大切な場所であり、整然とした状態が望まれる場所です。
ズレた墓石は見た目が悪く、訪れる人々に不快な印象を与える可能性があります。
また、周囲のお墓と比べて目立つため、精神的な負担を感じる方も少なくありません。
設置時の問題の悪化
墓石の設置時に問題があった場合、その影響は時間とともに悪化します。
ズレが生じると、基礎部分や接着部分にさらに負担がかかり、問題が一層深刻化します。
設置時に問題が生じていると、修繕が難しくなるだけでなく、修繕費用も増大することになるでしょう。
墓石のズレを自分で直す方法(diy)
墓石のズレを直すためには専門の石材店に依頼するのが最善ですが、自分で修正したいと考える方も少なくありません。
そこでここでは、DIYで墓石のズレを直す方法について説明します。
ただし自分で修正する場合にはリスクも伴うため、慎重に行うことが必要です。
必要な道具と準備
墓石のズレを修正するためには、以下の道具と準備が必要です。
- 軍手:手を保護するため
- 水平器:墓石が水平になっているか確認するため
- ジャッキ:墓石を持ち上げるため
- 木片や板:ジャッキの下に敷くため
- ゴムハンマー:墓石を微調整するため
- モルタル:墓石の基礎部分を修正するため
- セメント:基礎工事や外柵のズレの応急処置
- コーキングボンド:石材専用の接着剤・修理箇所を強固に接着するため
- スクレーパー:墓石に付いた汚れや水あかを削り落とすため
- 水性塗料と筆:彫刻文字に色を入れるため
- 水とバケツ:モルタルやセメントを混ぜるため基本的な流れ
基本的な流れ
準備作業
まず、墓石周囲の掃除を行い、周囲に障害物がないことを確認します。軍手を着用し、安全に作業できるように準備します。
墓石の持ち上げ
墓石の下にジャッキを設置し、慎重に持ち上げます。この際、ジャッキの下に木片や板を敷いて、安定させることが重要です。
基礎部分の修正
墓石が持ち上がったら、基礎部分の確認を行います。基礎が崩れている場合や沈下している場合は、モルタルやセメントを使用して修正します。モルタルやセメントを適量混ぜ、基礎部分に塗り込んで整えます。
墓石の再設置
基礎部分が整ったら、ジャッキを少しずつ下げて墓石を元の位置に戻します。この際、水平器を使用して墓石が水平になっているか確認しましょう。
微調整
ゴムハンマーを使用して、墓石の位置を微調整します。慎重に叩きながら、ズレを修正していきます。
接着と補修
必要に応じてコーキングボンドを使用し、墓石の接合部分を強固に接着します。また、セメントを使って花立てなどの付属品を固定。最後に、スクレーパーで汚れを取り除き、水性塗料と筆で彫刻文字に色を入れて仕上げます。
注意点とリスク
墓石のズレを自分で修正する際には、いくつかの注意点とリスクがあります。
- 重い石材の扱い
墓石は非常に重いため、持ち上げたり動かしたりする際には大きな力が必要です。無理をして怪我をするリスクがあるため、慎重に作業を行わなければいけません。 - 専門知識の不足
専門的な知識や技術が不足している場合、修正が不完全になり、かえって墓石を傷つけることがあります。また、基礎部分の修正が不十分だと、再度ズレが発生します。 - 法律や規則の確認
一部の地域では、墓石の修繕や移動に関して法律や規則が定められていることも。事前に確認し、必要な手続きを行うことが重要です。
お墓のずれを自分で直したい方に向けて必要な道具や流れについて紹介してきましたが、リスクも高くなにより技術が必要なことから、基本的にDIYはおすすめしていません。
自分で修正することに不安がある場合や、修正が難しいと感じた場合は、専門の石材店に依頼することを強くおすすめします。
墓石のズレ直しは石材店に依頼!
墓石のズレを発見した際、自分で直す方法もありますが、やはり専門の石材店に依頼するのが最善です。
ここでは、石材店に依頼する理由とそのメリットについて詳しく説明します。
プロに依頼する理由
墓石の修繕は専門的な作業であり、プロに依頼することで確実かつ安全に行うことができます。
以下に、プロに依頼する主な理由を挙げます。
専門知識と経験
石材店の従業員は、墓石に関する豊富な知識と経験を持っています。
墓石の構造や材質、設置方法に精通しており、ズレの原因を正確に特定し、最適な修繕方法を選択し、お客様へ提案します。
自分では見落としがちな細かな問題や、基礎部分の劣化なども的確に判断し、長期的な対策を講じられるのです。
適切な道具と技術
専用の道具と高度な技術を駆使して墓石の修繕をおこないます。
ジャッキや水平器だけでなく、専用の接着剤や補修材、精密な測定機器を使用することで、墓石をミリ単位の正確さで修正します。
また、重い石材を安全に扱うための技術や、接着部分を強固にするための方法にも熟知しているため、作業が確実かつ迅速に進むでしょう。
さらに、プロに依頼することで、以下のようなメリットも得られます。
- 保証付きのサービス
多くの石材店では、修繕後の保証を提供しており、万が一再度ズレが生じた場合にも対応してくれます。これにより、安心して任せることができます。 - 時間と労力の節約
自分で修繕する場合、準備や作業に多くの時間と労力がかかりますが、プロに依頼することでこれらを節約できます。特に、高齢の方や体力に自信がない方には大きな利点です。 - 法的手続きや許可の代行
一部の地域では、墓石の修繕に関して特定の手続きや許可が必要な場合があります。石材店はこうした手続きも代行してくれるため、手間を省くことができます。
墓石のズレを発見した際には、信頼できる石材店に相談し、プロに修繕を依頼することをおすすめします。
これにより、確実で安全な修繕が可能となり、墓石を長く美しく保つことができます。
依頼から直すまでの手順
プロの石材店に墓石のズレ直しを依頼する際の一般的な手順は以下の通りです。
- お問い合わせと相談 :まず、信頼できる石材店に電話やメールでお問い合わせを行います。現状の説明とともに、現地調査の依頼をします。初回の相談は無料で行っているところが多いです。
- 現地調査: 石材店の専門スタッフが現地に赴き、墓石のズレ具合や周囲の状況、基礎部分の状態を詳しく調査します。この際、必要な修繕方法や費用の見積もりが提示されます。
- 見積もりと契約: 調査結果と見積もりを確認し、納得したら契約を結びます。この時点で、具体的な作業内容やスケジュールについても確認しておきます。
- 修繕作業: 契約後、修繕作業が開始されます。まずは墓石を慎重に取り外し、基礎部分の修正を行います。必要に応じて、モルタルやセメントを使用して基礎を強化します。その後、墓石を再設置し、水平器を用いて正確に調整します。最後に、接着部分を強固に固定し、必要な補修を行います。
- 完了検査: 修繕作業が完了したら、最終チェックを行います。ズレが完全に直っているか、美観が損なわれていないかを確認します。
- アフターフォロー :修繕後も石材店がアフターフォローを行います。定期的な点検やメンテナンスを依頼することで、再度のズレを防ぎ、長く美しい状態を保つことができます。
当社へは、電話のほか、メールやLINEからお問い合わせしていただけます。
墓石のズレを防ぐためのメンテナンス
墓石のズレを防ぐためには、日頃からのメンテナンスが重要です。以下に、具体的なメンテナンス方法を紹介します。
墓参りや掃除など定期的なチェック
定期的にお墓参りや掃除を行うことは、墓石のズレを防ぐための基本的なメンテナンスです。
- 目視チェック
お墓参りの際には、墓石が傾いていないか、ズレが生じていないかを確認します。特に、地震や台風などの自然災害があった後は、念入りにチェックすることが重要です。 - 清掃作業
墓石やその周囲を定期的に清掃します。苔やカビが発生すると、墓石のズレを引き起こす原因になるため、柔らかいブラシや布を使用して丁寧に掃除しましょう。水で洗い流す際は、高圧洗浄機を避け、優しく手洗いするのがベストです。 - 小さな修繕
墓石に小さなヒビや欠けが見つかった場合、早めに修繕することで、大きなズレを防ぐことができます。専門の補修材を使用して、自分で修繕することも可能です。
お墓の地震対策
地震対策を施すことで、墓石のズレを予防できます。
- 免震パッドの設置
墓石の下に免震パッドを敷くことで、地震の揺れを吸収し、ズレを防ぐことができます。免震パッドは専門の石材店に依頼して設置することをおすすめします。 - アンカー固定
墓石を基礎部分にアンカーで固定する方法も有効です。アンカーは金属の棒を使って墓石をしっかりと固定し、地震によるズレを防ぎます。 - 地盤の強化
墓石の基礎部分の地盤を強化することも重要です。地盤が弱いと、地震や大雨の際に墓石が傾きやすくなります。専門の石材店に依頼して、地盤の状態を確認し、必要に応じて補強工事を行うと良いでしょう。
石材店によるメンテナンス
プロの石材店に定期的なメンテナンスを依頼することで、墓石のズレを防ぐことができます。
- 定期点検
石材店による定期点検を受けることで、墓石の状態を専門家の目でチェックしてもらえます。ズレや劣化の兆候を早期に発見し、適切な対応が可能です。 - クリーニングサービス
石材店によるプロのクリーニングサービスを利用することで、墓石の美観を保ちつつ、苔やカビの発生を防ぐことができます。専用の洗浄剤や道具を使用して、丁寧にクリーニングしてもらえます。 - 補修工事
墓石にズレやヒビが見つかった場合、早めに石材店に依頼して補修工事を行いましょう。プロの技術による補修で、墓石を長持ちさせることができます。
日頃からのメンテナンスを怠らず、定期的なチェックとプロのメンテナンスを組み合わせることで、大切な墓石を長く美しい状態で保つことができます。信頼できる石材店に相談し、適切なメンテナンスを行うことが大切です。
実際にお墓のズレを直した事例
ここでは、実際にお墓のズレを石材店に依頼して直した事例をご紹介します。
この事例を通して、どのように修繕が行われたのか、どのような結果が得られたのかを具体的にイメージしていただけます。
事例1:富山県
能登半島地震の復旧工事において、富山県高岡市の寺院内墓地で墓石の修繕をおこないました。
地震の影響でズレた墓石や、完全に倒れてしまった墓石が多く見られましたが、仏石ズレ補修や組みなおしを適切に実施し、それぞれの被害状況に応じた処置をおこないました。
事例2:石川県
能登半島地震の復旧工事の一環として、羽咋市の境内で倒れてしまった3段墓石の修復をおこないました。
この修復では、墓石の組みなおしと芯入れを実施し、地震に耐えられるようにするために耐震ボンドとズレ防止用のピンを使用しました。
お墓のズレ直しに関するよくある質問(FAQ)
Q.墓石のズレを放置するとどうなる?
墓石のズレを放置すると、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 安全性の低下: 墓石がさらにズレて倒れる危険性があります。特に、訪問者や周囲の墓石に被害を及ぼす可能性があります。
- 構造の損傷: 墓石の基礎部分や接合部分が損傷し、修理がより難しくなります。結果として、修理費用が高くなることもあります。
- 美観の悪化: 墓石のズレは見た目にも悪影響を与えます。家族や訪問者が見たときに、良い印象を持たれません。
- 風化の進行: ズレた状態では、雨水が入り込みやすくなり、風化が進行しやすくなります。
早めに専門の石材店に依頼して修理を行うことが、これらの問題を未然に防ぐために重要です。
お墓を放置するリスクについては「墓じまいしないとどうなる?墓地別の対応や放置・無視により生じる負担とは」にて紹介しています。
Q.修理にはどれくらいの費用がかかる?
墓石のズレ修理にかかる費用は、以下の要因によって異なります。
- ズレの程度: ズレの大きさや複雑さによって、修理の難易度が変わります。小さなズレであれば比較的低コストで修理できますが、大きなズレや複雑な修理が必要な場合は費用が高くなります。
- 修理内容: 基礎部分の補強や墓石の再設置、接着剤の使用など、具体的な修理内容によって費用が変わります。
- 地域: 地域によっても費用は異なります。交通費や人件費などが影響します。
一般的に、簡単なズレ修正であれば数万円から、中程度の修理であれば5万円から10万円程度、大規模な修理や基礎部分の補強を伴う場合は10万円以上かかることもあります。具体的な費用は、現地調査と見積もりを依頼して確認することをおすすめします。
Q.ずれた墓石の動かし方は?
ずれた墓石の動かし方は見出し「基本的な流れ」にて解説しています。
墓石のズレ修正は専門的な作業であり、DIYで行うにはリスクが伴います。特に重量があるため、ケガのリスクや墓石を損傷させる可能性があります。確実かつ安全に修繕するためには、専門の石材店に依頼することを強くおすすめします。
墓石のズレを防ぎ、長く美しく保つために
墓石のズレは、特に60〜70代の夫婦にとって重要な問題です。放置すると安全性が低下し、美観も損なわれます。
墓石のずれを直すときは、適切な道具と技術を用いて修理することはもちろん、地震対策や補強工事も行うとよいでしょう。
定期的なメンテナンスも重要で、石材店による点検や清掃がおすすめです。
墓石は供養と絆を象徴する重要な場所です。この機会に墓石についてきちんと考えてみませんか?
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