樹木葬のデメリットとは?リスクとその対策を詳しく解説
- 供養/埋葬
お墓の購入は、思いついた日にすぐ決めて即支払いするといった簡単なものではありません。事前にさまざまな情報収集をおこない、入念に検討したうえで自分や家族が穏やかに眠れる場所を決めるべきでしょう。
樹木葬の購入を検討している方も、まずは樹木葬の知識をきちんと吸収することが重要です。購入後に満足するためには、メリットだけでなくデメリットも把握することをおすすめします。
この記事では、樹木葬のデメリットとメリットに焦点をあてて解説していきます。
目次
〇樹木葬の実態
〇樹木葬のデメリット・リスク8つ
〇樹木葬のメリット7つ
〇樹木葬の選定から埋葬までの大まかな流れ
〇樹木葬のデメリットを補う「モニュメント葬」
〇まとめ
樹木葬のデメリットを知る前に把握しておきたい実態
「樹木葬」と聞くと、字の通り自然をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、実際に正しい定義や深い知識を持っている方はそれほど多くありません。
まずは樹木葬とはなにか、種類や費用など基本を押さえていきましょう。
樹木葬とは
墓石を墓標とする一般的なお墓と違い、樹木を象徴としたお墓の形が「樹木葬」です。
樹木葬の大きな特徴は墓標を樹木や草花とすることであり、そのほか詳細に定義や規定が定められているわけではありません。そのため、法律に基づいた許可を得ている場所であれば、どのような種類の植物でどのような形式でおこなっても「樹木葬」と銘打てるのです。
樹木葬といってもさまざまな墓地霊園のタイプ、埋葬方法の種類があるため、購入時はきちんと確認しておくことをおすすめします。
自然葬について知識を得たいという方は「自然葬とは?「自然に還りたい」という希望が叶う葬送方法について解説」にて詳しく解説しています。
墓地・霊園のタイプ
樹木葬の墓地・霊園は、大まかに以下の2つのタイプに分けることができます。
〇庭園タイプ:整然と整備された庭園のような墓地です。比較的自由なスタイルで運営されています。
日本では、主に上記の2つの樹木葬のタイプがありますが、同じタイプでも見た目が異なったり、埋葬方法が制限されたりすることもあります。
樹木葬についてさらに詳しく知りたい方は「樹木葬とは?種類や費用を詳しく解説!さらにメリットも紹介」の記事にて解説しています。
埋葬方法の種類
樹木葬以外にも、遺骨を埋葬する方法にはいくつかのタイプがあります。
〇集合埋葬:特定のシンボルとなる樹木の下に、複数人の遺骨を埋葬する方法で、区画が設けられます。
〇合祀埋葬:遺骨を直接土に埋葬する方法で、複数人の遺骨が同じ場所に埋葬されます。
樹木葬は、墓標として樹木を用いる独特な形態を持っています。ただし、選択する墓地や霊園によっては、埋葬方法が制限される場合もあります。自身や家族の希望に合った埋葬方法を選択する際に、各埋葬方法の特徴を理解することが重要です。
発生する費用
樹木葬の購入は、主に以下の費用が発生します。
〇管理料:樹木葬の管理にかかる
〇プレート料(彫刻料):文字や柄などの彫刻にかかる
〇納骨料(埋葬料):遺骨の納骨にかかる
〇永代供養料(永代使用料):永代に渡る供養にかかる
選択する墓地の立地や規模、プラン等によって金額は異なります。
詳しい見積もりや墓地の種類などを知りたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。
樹木葬に発生する費用、詳しい相場については「樹木葬の費用は?種類ごとの相場や内訳、費用の抑え方も解説」にて解説しています。
樹木葬のデメリット・リスク8つ
樹木葬を選択したのちに後悔することのないよう、生じるデメリットやリスクについて事前に把握しておくことが大切です。
「樹木葬で後悔する理由とケース|事前に確認すべきポイントも併せて紹介」では、樹木葬を選択して後悔した理由や事例を紹介しています。
樹木葬に生じ得るデメリットには、主に以下のものがあります。
- 遺骨の取り出し・移動が困難
- 粉骨が必須の可能性がある
- アクセスの良し悪しに差がある
- 埋葬人数が制限されることが多い
- 家族・親族から反対されやすい
- 基本的なお墓参り・法事ができない
- 季節や種類によって景観・見た目が異なる
- 植物が多く墓地が荒れやすい
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
1.遺骨の取り出し・移動が困難
樹木葬のなかでも「自然回帰」に重きを置いている墓地霊園では、遺骨をそのまま土に埋める合祀型を採用しています。そのため、納骨後に遺骨を取り出したりほかのお墓に移動させたりすることはできません。
骨壺ごと埋葬した場合でも、決められた時期が来たら合祀される契約になっていたり、はじめから共同区画に埋葬されていたりする場合も同様です。
骨壺ごと埋葬した場合でも、決められた時期が来たら合祀される契約になっていたり、はじめから共同区画に埋葬されていたりする場合も同様です。
2.粉骨が必須の可能性がある
樹木葬を管理する墓地霊園のなかには、遺骨を粉砕することを条件にしているところもあります。とくに都内の墓地では納骨できる区画が限られているため、粉骨を条件にする場合が少なくありません。
「遺骨の形を残したまま埋葬したい」
「骨の粉砕は故人に悪いことをしているようで気が引ける」
という思いがある方にとっては粉骨が求められる樹木葬はデメリットと言えるでしょう。
一部の骨は納骨せず手元に残せるケースもあるため、決めつける前に確認することが大切です。
3.アクセスの良し悪しに差がある
樹木葬の大きなデメリットに「アクセスの不便さ」があります。一般的なお墓は石を墓標にしているためとくに場所の制限はありませんが樹木葬は違います。樹木葬の名の通り樹木を墓標にしているため、自然豊かな場所に位置していることが多いのです。
とくに自然回帰に重きを置いている墓地や、自然の地形をできるだけ残して供養する里山型樹木葬はどうしてもアクセスが悪い場所になってしまいます。
公共交通機関を利用して通いづらかったり、墓地まで山中を歩く必要があったりするため、定期的にお墓参り等に通いたい方にとっては不便に感じるでしょう。
ただし、近年樹木葬と一般的なお墓が同じ墓地内にあるケースも増えてきています。
「樹木葬=アクセスが悪い」のではなく、良し悪しに差があることを頭に入れておきましょう。
4.埋葬人数が制限されることが多い
区画が小さい樹木葬では、埋葬人数が制限されていることも多くあります。
家族全員分の納骨をイメージして購入したものの、スペースが足りなかったり、入ったものの狭く感じたりすることも。
「埋葬人数が限られる」のは樹木葬でよく挙げられるデメリットです。しかし、埋葬人数は契約前に知らされることも多く、かつ最近では家族みんなの埋葬が叶う”ファミリータイプ”も増えています。
そのため、複数人の埋葬を考えている人は、まず樹木葬の埋葬人数をチェックしたうえで契約を検討しましょう。
5.家族・親族から反対されやすい
樹木葬はまだまだ歴史が浅いお墓の形です。そのため、どうしても購入に抵抗がある人は存在します。
近年認知度も人気も上がってきているとはいえ、伝統的なお墓の形を崩したくないという意見もあるでしょう。
一般的なお墓の購入と比較して、樹木葬の購入はどうしても理解を得にくいというデメリットがあります。
6.基本的なお墓参り・法事ができない
樹木葬を選ぶと、今まで当たり前におこなっていたお墓参りや法事ができなくなる可能性があります。これは、樹木葬がお供え・線香・ローソクを禁止しているところがあるからです。
樹木葬は自然が豊富で山林にある場合もあり、草木への引火や虫や動物が寄ってくることを防ぐ目的があります。
また、集合型樹木葬はひと区画ごとに祭壇が備えられているわけではありません。別の場所にみんなで利用する祭壇が設けられているケースが多いです。そのため、ローソクが使用できても次の人のことを考えて持ち帰らなければいけない等のルールがあり、不自由に感じる方もいるでしょう。
いわゆる一般的なお墓参りをしたい方にとっては、この制限は大きなデメリットになります。
7.季節や種類によって景観・見た目が異なる
樹木葬は生きた自然を活かした墓地です。そのため春夏には青々とした緑が見られますが、秋冬になると葉は散り、草木は枯れ、色見の少ない景色になります。
「華やかな見た目」を想像して購入した方は、寒い季節の景観にギャップを感じてしまうでしょう。
墓石のお墓は、良くも悪くも一年を通して景観の変化はありません。景観を重視したい方は、四季による変化をイメージしながら見学するか、事前に問い合わせておくことをおすすめします。
8.食物が多く墓地が荒れやすい
樹木葬の管理体制によっても異なりますが、自然に恵まれた場所にある墓地では草木の手入れを怠ると、瞬く間に荒れ、景観が損なわれてしまいます。
一般的な墓地に比べて植物が多く荒れやすい点は、樹木葬のデメリットと言えます。
樹木葬は寺院や霊園が管理をおこなう場合もあれば、契約者が手入れも担う場合もあります。綺麗な状態を保ちたい方は、事前に管理体制と内容に納得したうえで契約することをおすすめします。
デメリットだけじゃない!樹木葬のメリット7つ
ここまで、樹木葬のデメリットや購入に対するリスクを挙げてきました。しかし、樹木葬が近年人気を集めているのは、今の時代に合ったメリットが複数あるからです。
ここでは、従来のお墓にはない樹木葬のメリットを7つご紹介します。
- 永代供養のため管理の負担がない
- 一般墓より費用が抑えられる
- 宗旨宗派不問のところが多い
- 墓地のイメージより明るい雰囲気がある
- 樹木の成長とともに歳月を感じられる
- 「自然に還りたい」の希望が叶う
- ペットと埋葬できるタイプも多い
1.永代供養のため管理の負担がない
樹木葬の代表的なメリットが「永代供養」であることです。永代供養は、遺族に代わって寺院や霊園などが遺骨を無期限で管理・弔うことを指します。
そのため、従来のお墓のようにお墓を継ぐ必要がなく、継承者が不在でも契約できます。
時代とともにライフスタイルや考え方も大幅に変化しており、核家族での居住・生涯独身・子供を持たない選択をする方も少なくありません。
「跡継ぎがおらず埋葬後のお墓の管理が不安」
「子供が離れた場所に居住しているため管理が難しい」
「継承者はいるけれど負担をかけたくない」
「継承者はいるけれど負担をかけたくない」
このような考え方に寄り添ったお墓の形が”樹木葬”なのです。
2.一般墓より費用が抑えられる
「樹木葬は安価」と聞いて興味を持ち始めた方も多いと聞きます。実際に樹木葬は従来のお墓と比較して費用を抑えやすく、お墓にあまりお金をかけたくないと考えている方におすすめのお墓です。
とくに小人数用のものやシンプルなデザインのものは割安で購入しやすいため、コストを重視してお墓選びをしている方にとって大きなメリットと言えるでしょう。
永代供養によって将来への不安を解消できるだけでなく、経済的な負担も軽減できます。
3.宗旨宗派不問のところが多い
樹木葬は特定の宗教や宗派を信仰していなくても埋葬できる墓地が多数あります。
お寺が所有する墓地に墓石を建築するとなると「仏教のなかでも浄土宗の人に限り埋葬可能」「キリスト教の人は納骨できない」といったルールが定められている場合が多いです。
しかし、樹木葬は自然に還ることを基本思想とするお墓のため、どのような宗教の方でも利用できます。
宗教のしきたりに縛られたくない方や無宗教の方でも、自分が気に入った場所で眠れるところが利点です。
4.墓地のイメージより明るい雰囲気がある
従来のお墓は”石”、樹木葬は”草木”が墓標となっているため、霊園の雰囲気が大きく違います。
シンボルツリーのほか、木々や草花が豊富に植えられ、芝生は整えられている庭園タイプは明るい雰囲気を持ちます。
従来のお墓には、重苦しいイメージを持つ方は、樹木葬の開放的な雰囲気に魅力を感じるでしょう。
自然に囲まれた樹木葬は、埋葬された故人はもちろん、お墓参りに訪れる人の心も穏やかにしてくれます。
5.樹木の成長とともに歳月を感じられる
樹木葬は生きている樹木をシンボルとするため、その変化や成長を見て歳月を実感できます。一般的なお墓と違い、年月を感じられる点も樹木葬の大きな特徴でありメリットです。
樹木の枝が伸びてきたり、葉がついて青々としてきたり、葉が散ったりと、その時期その時期で違った顔を見られます。季節や成長によって故人との思い出・イメージ等を重ねられるのは樹木葬の特権です。
6.「自然に還りたい」の希望が叶う
「亡くなった後は自然の中で眠りたい」と考える方は、自然回帰の樹木葬に惹かれることでしょう。とくに遺骨を直接土に納める樹木葬は、自然の力によって遺骨が土へと還っていきます。
樹木葬がすべて直接土への埋葬方法を採用しているわけではありません。自然に囲まれている霊園なら骨壺での埋葬でも良いのか、自然志向が強くきちんと自然に還りたいのか、きちんと決めたうえで、希望に沿った埋葬方法を選びましょう。
7.ペットと埋葬できるタイプも多い
樹木葬はペットと埋葬できるタイプが多いです。
ペットを飼う人にとっては「ペットは家族」。同じ場所で永眠したいと願う人は多いですが、宗教によっては人間とペットが同じお墓に埋葬されるのはタブーとされています。
しかし、樹木葬では宗教宗旨不問とするところも多く、そのためペットと同じ場所での納骨が叶う墓地も増えてきているのです。
樹木葬の選定から埋葬までの大まかな流れ
樹木葬が気になっていても、どこに樹木葬があるのか、どのような手順でおこなえば良いのか分からないという方も多いことでしょう。
樹木葬の選定から埋葬までの大まかな流れは以下の通りです。
- 情報収集(資料請求・見学予約など)
- 現地見学
- 契約・支払い
- 墓地使用許可証の受取
- 遺骨の埋葬
「樹木葬とは?種類や費用を詳しく解説!さらにメリットも紹介」では樹木葬の購入・埋葬までの手順を詳しく解説しています。
まずは石材店にお問い合わせや資料を請求して、霊園の選定からおこないましょう。
こちらからお問い合わせ・資料請求していただけます。
樹木葬のデメリットを補う「モニュメント葬」
樹木葬に加えて、新しい形の墓「モニュメント葬」が存在することをご存知でしょうか。
モニュメント葬は、樹木の代わりに石碑を用いた墓です。
石で作られるモニュメントは、季節や手入れの心配が不要で、より永続的な墓として利用されます。
もし「樹木葬は管理や季節によって景観が変わりやすい」という理由で悩んでいる方がいらっしゃれば、モニュメント葬を検討してみてはいかがでしょうか。まずは樹木葬との違いや、具体的なモニュメント葬のイメージをご覧になってみてください。
樹木葬のデメリット・メリットをふまえて検討しよう
本記事では、樹木葬のデメリット・メリットに焦点を当てて解説しました。
樹木葬は遺骨の取り出し、アクセス、埋葬人数、親族からの理解などにリスクが生じやすいお墓です。
しかし、従来のお墓にはない以下のメリットもあります。
- 永代供養で管理の負担が軽減
- 費用を抑えやすい
- 宗教不問のところが多い
- 明るい雰囲気がある
- 樹木の成長で歳月を実感できる
- 「自然に還りたい」の希望が叶う
- ペットと埋葬できる
樹木葬のなかでも、今回紹介したデメリットを解消できるもの、メリットを受けられないものも存在します。
まずは自分の希望を明確にして石材店に相談し、条件に納得したうえで樹木葬を選定・購入しましょう。
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